でも、事態は悪い方に進んだのは確実であり、何か手を打たないと俊雄さんと本当に離れさせられてしまうという怖さだけがあった。

「亜紀ちゃん。俺さ、真由がその例の女に駆け寄って何か話したのを見た事があるんだ」

長澤さんが呟くように言った。

「真由をあんなに怒らせたのは俺だ。何かできる事があれば言ってね」

「長澤さん……。ありがとうございます」

そうは言ったものの、長澤さんまで巻き込むのは気が引ける。何とか私だけで解決への道筋を探さないといけない。

でも、どうしたら?

本当は頼りにしていた真由。信頼していて、相談にも沢山のってもらった。それが私の事を敵対視していたなんて、気付きもしなかった。いや、真由は私の俊雄さんとのノロケ話を聞いていて、傷付いていたのかもしれない。真由は報われない恋をしていたのだから。

今夜、俊雄さんとちゃんと、本当の気持ちと現状の整理をしよう。

夜になり、俊雄さんは二十時くらいに私の部屋にやって来た。向かい合って座り、第一声は私が発した。

「俊雄さん、ごめんなさい。どんな理由であっても、他の男性と関係を持ってしまったのは私が弱かった証拠。本当に悪いって思ってる。許してとは言わないよ。叩いても良いから、好きにして」

「亜紀……」

フワッと俊雄さんが私を抱き締め、おでこにキスをした。

「俺の方こそ、ごめん。昨日は亜紀の気持ちも考えずに感情的になってたし、悪いのは俺も同じだ。いや、二回も亜紀を裏切ってしまったのだから、タチが悪いよな」

「ううん、俊雄さんは悪く――悪いかもしれないけど、それでも、私は俊雄さんを信じたい」

「彼女に流されちゃったけど、僕は亜紀が好きだ。誰よりも愛してる」

「私も好き。もう、裏切らないでね?」

「ああ。僕は亜紀が良い。亜紀だけが……僕の全てだ」

ついばむようなキスをされ、たったそれだけなのに体が熱くなる。

「良い?」

「……うん」

私達は寝室に移動して、一晩……お互いを求め合い、感じ合った。いつもよりも俊雄さんが激しくて、最後の方はぐったりしてしまう程に。俊雄さんは明日は有休を取ったらしく、今夜は私の部屋に泊まる事を知らされて、抱き締められながら眠りについた。

 

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店の奥で寄り添って笑う二人――それが彼氏と“あの女”だと気づいた瞬間、歓迎会どころではなくなり……

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