しかし、不思議なもので体が仕事を探そうとしてくれなかった。頭では「働かなければ」と思うのだが、また一からのスタートで人間関係を築き上げて行くこと。その時の自分の感情を想像した時に、どうしても心が拒絶反応を起こすようになっていた。

前に進まなくてはいけないことはわかっている。前に進むために、地元に帰ってきたはずだった。しかし、頭が後戻りをする時がある。

なぜ私が会社を辞めないといけなかったのか。

毎日毎日頑張った自負もある。成績も残した。ただ、理不尽に認めてもらえなかった。そのことを思い出すと、どこにもぶつけようのない怒りと、考えたところで解決できない過去に対する虚脱感とで行動する気力が失われていた。

メンタルが壊れている実感があった。私は少し体と頭を休めようと思ったが、生活していくためにもその間に何か前に進むためのきっかけを探していた。

数ヶ月が経った頃、挨拶を兼ねた出先でたまたま仕事のオファーをいただいた。その時も悩んだが、あるきっかけが私の心を動かしてくれた。

それは、以前いた職場の部下と同年代くらいの青年が、「一緒に働きたい」と言ってくれたことだった。涙を流して別れを惜しんでくれた部下と重なる部分があったのかもしれない。

そんなご縁があり、その新たな職場に就かせていただいた。

数週間が経った頃、新たな職場の上司の方と二人きりでお話をする機会があった。

私はできるだけ前職の話はしたくなかったのだが、上司に尋ねられたこともあり前職の話をすることになった。私は包み隠さず話した。話をしている最中、当時のことを思い出し胸が苦しくなった。

上司の方は黙って私の話を聞いてくれた。話し終えると上司は深くうつむき何かを考えているようだった。しばらくして上司が口を開いた。