南君と過ごした夜が明け、朝を迎えた。
昨夜の事を思い起こすと、確かに慰められたかったけれど、それでも俊雄さんを裏切ってしまった事は事実なので、後悔の念が強く襲い掛かった。
荷物をまとめ、着替えて、部屋を静かに出ようとすると、南君に声を掛けられた。
「亜紀ちゃん、黙って行っちゃうの?」
「……何も話す事はないから。昨夜の事も忘れて?」
「忘れないよ、例え亜紀ちゃんが忘れても」
「……じゃあ、私は仕事に行くから」
「またお店に行くよ」
「……」
私は何も言わずに部屋を出た。
「あれ? 亜紀じゃない。どうしたの? 一人で。南君は?」
水野さんに肩を抱かれた真由が、そう言ってきた。
「まだ部屋で休んでる。ほら、私は仕事に行かなきゃいけないでしょ?」
目一杯の笑顔をするも、真由に作り笑いだと指摘される。
「昨夜は南君と楽しい時間を過ごしたんじゃないの? エッチしたんでしょ?」
楽しいイコールエッチという図式になる事が不思議だけど、私はどうかな、と曖昧に答えて、その場を去ろうとした。
「亜紀……! 何か嫌な事でもされたの?」
真剣な表情で言われ、そんな事はないよと答える。逆だ。最終的に南君に嫌な気持ちにさせたのだから。忘れてなんて、冷たかったと思う。自分勝手だと思う。だけど、『だけど』なのだ。割り切れない気持ちがある。
「じゃ、お店でね」
「あ、言ってなかった? 私、今日休みなんだ。これから翔の家に行って、いっぱい満足するまでエッチする予定なんだよね」
にやけた顔で言われ、溜め息が出そうになるのをグッと堪える。真由達と別れて、私はお店へ向かった。
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