「実はね……言いにくいんだけど……」
私の頭の中には『結婚』という二文字が浮かび、ドキドキしながら俊雄さんの次の言葉を待つ。
「お見合いをする事になったんだ」
「……は? お見合いって、あのお見合い?」
「そう。そのお見合い」
俊雄さんは何を言っているんだろう? 私という恋人がいるのに、お見合い?
話が見えなくなってきた。
「ごめん! どうしても断り切れなくて」
「ど、どうしてそんな事になったの!? ちゃんと説明して!」
結婚どころか、他の女性とお見合いだなんて、展開について行けないのも当然というものだ。
「実は……うちの会社の社長が僕の事を気に入ってくれているんだけど、この前、娘さんを嫁にどうかと言われたんだ。娘さんは悠希さんというんだけど、社長秘書をしていて僕の事を……その……好きらしくて……」
歯切れの悪い言い方をするけれど、俊雄さんを好きな悠希さんが、父親にお見合いをさせてと頼んだのだろうと安易に想像ができた。
「……それで? 私の事は話したの?」
「話したよ、好きな人がいるって。だけど一度ちゃんとお見合いをして欲しいって社長に押し切られて」
俊雄さんは優しい。だから押し切られたんだろうけど、私はどう反応をしたら良いのか分からなかった。
「本当にごめん! でも、ちゃんと断るから……!」
「その悠希さんに押し切られたら? それでも断り切れる?」
「大丈夫だよ。僕の気持ちは亜紀にしか向いていないし」
「……それで? 今日の足止めと関係があるの?」
「彼女から電話があって……。社長が番号を教えたみたいで」
「何て言われたの?」
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彼氏が私以外の人とお見合い…しかも相手は社長令嬢だった。「僕には好きな人がいるって言ったら、泣き出されて…」
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