【前回記事を読む】ついに機会を得た――5年前、約90日間の「祖国」滞在を予定し、準備万端だった。しかし、当時の対日情勢は厳しく……
1回目の訪朝
1 やっと叶った2008年の訪朝
ご存知の方も多いと思いますが、新潟港を出港して朝鮮へと向かう渡航手段である「万景峰(マンギョンボン)92号」は、当時の政治情勢下で入港予定が定まらず、また中国で流行したSARSの問題も重なったため、結局5ヶ月も出航が延びたのです。最終的にはその年の9 月末〜12月末の期間に行くことになりました。
昆虫採集をするには時期が適さず、私の秘かなる野望は完全に頓挫してしまったのでした。
その出来事があった年から5年が経った2008年。
愛媛大学の大学院生として環境昆虫学研究室に所属していた私は、10年ぶりに再開された北南朝鮮半島の野生動物合同調査隊の一員として訪朝することになったのです。
当時の主な調査対象はカワウソだったのですが、私の大学時代の恩師であり、このプロジェクトの朝鮮側の代表でもあった朝鮮大学校野生生物研究室の室長から、「調査の合間に昆虫類の採集を行ってもよい」との許可を得て、トランク二つとリュックサックにぎっ〜〜しりと採集道具を詰め込んで朝鮮へいざ出発!
訪朝期間は、あまりにも素晴らしく、感動的で、何よりもエキサイティングな期間になりました。
そのすべてを書き表すことは到底できませんが、印象深い経験を中心にご紹介したいと思います。