【前回の記事を読む】中学生男子が交通事故に遭い、約1ヵ月間昏睡状態… 本人に記憶はないが、家族が毎日付けてくれていた記録によると…

セカンド・バースデイ

病院で過ごす夏休み

焦るあまり、次の足の前に軸足が出てしまい、バランスを崩しそうになる。

まるで、千鳥足の酔っ払いが病院の廊下を歩いているみたいだった。意欲がないわけじゃない。でも、午前と午後、二回に分けて行っていたことで時折、気持ちが挫けそうになる。

家族の前だと、弱音を吐いてしまっていた。だから親と離れて取り組むリハビリの時間だけは、とにかくダメでも、ちょっとずつ前に進もうと足を動かす。

諦めるのは、嫌だ。可愛げがなく、ブスっとした表情だった日もあった気がする。足がしっかり出るようになると、今度は上半身の緊張が課題に。

上手く腕が振れず、ロボットのように廊下を歩く僕は、さながら入学したての小学一年生みたいだった。でも、そんな様子が見て取れるのも、一日一日少しずつ成果があったということ。

後ろ向きの気持ちでも、少しずつ前に進んでいた。そして、歩行距離が伸びていることもあり、担当医の先生より外泊の許可が出る。

一回目の外泊。久しぶりの自宅を目指し、父親の車へ乗り込む。

いつもはあまり心地の良くなかった煙草の匂いが、少し懐かしい。気分が悪くなるかと思ったけれど、そんなことはなく車窓に映る風景を眺めていると、とても長くこの世界から離れていたのではないか、なんて錯覚するくらい懐かしかった。

何週間かぶりの帰宅をして、久しぶりの我が家に挨拶をする。