第2章 変遷する発達障害
重症な子どもだけではない発達障害の発見
日本でも1970年代以降でしょうか、学校に上がったのだけどどうもうまくいかない、いまの言葉でいうと適応できない子どもたちが出てきます。
うまく話せない、友達が作れない、じっと教室に座っていられない、忘れ物が多い、約束を守れない、ひとつのことに異様にこだわる、できる科目とできない科目の差が激しい、などなど。学校生活あるいは家庭でもそうであったかもしれませんが、生活に支障が出てきます。
それらの状態が発達障害の状態に似ていることに気づいていきます。しかし知的にはそれほど障害がない、知能検査をすると高く出る子もいます。これらの子どもたちをどのように考えたらよいのか、このあたりから概念と名称の混乱が出てきます。
「情緒障害」、「微細脳障害」、「軽度発達障害」、「高機能発達障害」、障害されているのは情緒だけなのか、脳の微細な障害なのか、何をもって軽度、重度というのか、高機能群があれば低機能群があるのか、知能指数だけの問題なのか。
それは日本だけのことではなく、これまで自閉症児に見られていたような自閉的な特徴が、知的障害が顕著ではない、あるいは知的に高機能な子どもたちにも見出されるようになりました。このような状態をどう理解したらよいのか試行錯誤が続きます。