「確定申告の時も国税庁はスマホでの申告を進めていました。しかし高齢者にはやっぱり扱いにくい。それで税務署に出向くと長蛇の列でした。その会場には申告用のパソコンが5台しか置いてなかったんです。しかも事前予約制で、これはLINEを用いるものでした。

けれども、そもそも高齢者はLINEなんてやりません。そのためひどい時には高齢者ばかりが5時間待ちになったそうです。私はこういうのも需要に合ったやり方に戻すべきだと考えます」

「要するに田乃郷さんの政策としては高齢者が急速な改革に置きざりにされることのない、庶民目線の優しい社会を作っていきたいということでよろしいでしょうかね」

そう言いながら多比余は、次の候補者の物色を始めた。

小賀津美奈子 ◎花粉症対策に本気で取り組もう
無 新 30歳 フラワーショップ経営

「次は女性候補者の方にお伺いしましょうか。田乃郷さんの前の席に座っていらっしゃる、小賀津美奈子(おがつみなこ)さん、お願いします」

「エ~、エ~、小賀津美奈子と申します。よろしくお願いします」

美奈子はバネが外れた人形のようにピョンと立ち上がると、そう言ってお辞儀をした。

〈お、なかなか可愛いぞ。ちょっと、あがってるね〉

〈コスプレで女子高生をやっても似合いそう〉

「年は30歳で都知事選に出られる最年少です。明慶学園大学のグローバル法学科を卒業しています。現在の仕事は母の店を継いで、フラワーショップを経営しています」

「ハアイ、自己紹介ありがとうございます。ではまた座って都知事選で訴えたいことをおっしゃってください」

「えっと、えっと……」

〈ネエちゃん、ガンバレ〉