【前回記事を読む】「遺言書があるから安心」は嘘——相続手続きで家族がバラバラに…銀行の“遺言書ミス”がすべてのはじまりだった。

第1章 “任せたのに失敗!”という相続のリアル
――弁護士・税理士・銀行任せの落とし穴

実例1 弁護士が争いを誘発、家族関係が崩壊したMさん

相続実務士®が提案した軌道修正案

最初に行ったのは不動産の再評価です。

2000坪ある自宅の土地評価が、実は過大評価されていたことが判明。これを見直すことで、なんと1億円もの相続税が節税可能であることがわかりました。

これは相続人全員の相続税を減額できるため、妹さんにも理解を得られました。

さらに、母親の取得割合を増やすことで、配偶者の税額軽減を最大限に活かせることも判明。

当初の弁護士の提案では38%しかなかった母親の取り分を、50%に近づけることで、さらなる節税が実現する試算も提示できました。

しかし、このタイミングで取得する不動産が変わる新たな遺産分割案を出すと、「またMさんが得をしようとしている」と妹さん側に受け取られかねません。

そのため、相続税の節税よりも、これ以上、感情を逆なでしないことを選択する判断をしました。

二次相続対策で巻き返しをはかる

本来なら、父親の相続時にもっと有利に分割することで、二次相続(母親が亡くなる時)の税負担も減らせたのですが、それができなかった以上、次善策を講じる必要がありました。

そこで、私たちは母親名義の土地と、Mさんがすでに相続した土地とを等価交換する提案を行いました。そうしないと母親の相続した自宅の敷地では節税対策ができないからでした。

母親とМさんはこの提案を理解され、等価交換が成立。

母親は自宅に隣接する広い庭を取得されましたので、その土地に賃貸マンションを建てる土地活用を進められました。これにより、母親の相続税は大幅に減額できたのです。

収入のなかった自宅の庭を土地活用することで家賃収入も得られ、将来の納税資金の確保と安定的な収入を得る仕組みを整えたのです。

その後、母親には私たち相続実務士®が証人となり、公正証書遺言を作成してもらい、今後の相続も円滑に進められるようにしました。

不動産はMさんが相続、妹さんには遺留分に抵触しない割合の金融資産を相続するという内容です。ここまでできたことで、Mさんは本当にほっとされていました。