はじめに
相続と聞くと、多くの方が「弁護士・税理士・銀行に任せておけば安心」と思われるかもしれません。
けれども「資格があるから」「大手だから」という理由で選んでも、相続という複雑で繊細なテーマには不十分なことが多いのです。
特に不動産がからむ相続では「手続きだけ」「税金計算だけ」ではうまくいかないため、財産全体を把握した「戦略」と「調整力」が不可欠です。
そんなとき助けになってくれるのが、相続税の知識だけでなく「不動産の評価と活用」を含めた総合的な提案ができる実務家、すなわち「相続実務士®」の存在です。
相続実務士®とは税理士でも弁護士でもない、相続の「司令塔」となる実務家として不動産と相続の両面から支援する総合専門家のことを言います。
聞きなれない名称かもしれませんが、これは私が30年以上前に立ち上げた仕事の名称で、相続の実務をコーディネートしています。私自身、相続実務士®として、これまで全国1万5000組以上のご相談を受け、実務支援をしてきました。
その中で、「資格保有者に頼んだのに失敗した」「大手銀行に任せたのに問題が大きくなった」といった専門家とのトラブルについてのご相談は数えきれないほど受けてきました。
その原因は多くの場合、相談する方の「資格者に依頼すれば完璧」という思い込みがあるからだと思えるのです。
たとえば、こういう事例がありました。お父様が亡くなり、都市銀行・信託銀行・大手税理士法人という一流の組み合わせで相続を進めたけれども、3社とも親身になってくれず、挙句の果てに「借金しないと相続税は払えません」と言われ、困り果てて夜も眠れないほど追い詰められて切羽詰まって相談に来られた方がありました。
また、弁護士と銀行の対応に配慮がなかったため、相談者と妹との間に不信感が生まれ、直接話ができないほど家族がバラバラになってしまっていたご家庭もありました。