【前回の記事を読む】日露戦争勃発前、日本はロシアとの交渉を試みたが…色々な言い訳で何か月も待たされ、その間ロシアは戦争の準備を進めていた。

第一章 遠いかなたの日本

総督は何もかも西洋式に設(しつら)えられた彼の欧風の大邸宅で私たちを夕食に招いてくれた。迎えてくれた四人の日本女性はさすが全員式典でしか着ない民族衣装の着物姿で、豪華な金襴(きんらん)の帯、すなわち飾り帯をしていた。そのうちの一人は、総督の令嬢の児玉伯爵夫人でとても美しかった。

私は総督とともに晩餐会の席に着き、もう片方の席は赤十字の日本人医師で、彼はしばしばアメリカに滞在したことがあり、我が国赤十字の日本支部長であるボードマンさん(Miss Boardman)をよく知っていた。

領事館での楽しい昼食会はきっと忘れることはない。というのはシドモア一家ほど魅力的な人たちにはどこに行っても会うことはできないであろうから。

シドモアさん(Miss Scidmore)は『人力車の時代』(Jinrikisha Days)とともに東洋関連の他の本の著者でもある。

我国政府所有の非常にきれいな領事館は古い韓国の館、すなわち官衙(かんが)(yamen)で、丘の斜面の塀で囲まれた構内に建っている。一階しかないので住居というよりスタジオのような外観を呈していたが、暖炉があり心地よく、たくさんの美しい骨董品が飾られていて魅力的だった。

韓国の宗教は、仏教、儒教およびシャーマニズム(巫術(ふじゅつ))であり、今日でもこれらが全て現存している。シャーマニズムはずっと原始的な集団の崇拝様式である。朝鮮には多くの仏教寺院がある。

例えば、韓国の山奥にある金剛山(くむがんさん)(Keum-Kang-San)の峰だけで五十以上の僧院や神社があるが、ほとんどが朽ち果てた状態である。キリスト教は一七七七年にローマ・カトリック教会によってこの国にもたらされた。

ソウルのアメリカ領事館

ソウルのアメリカ人居住区の人口はおよそ五百人であり、その中には多くのメソジスト派と長老派の宣教師がいる。最近起こったこれら宣教師たちと日本人の間の騒動に関しては、両者の見解に違いがみられる。

総督が数人の韓国人に襲われ、当然のことながら取り調べと容疑者たちの裁判を指示した。数人の韓国人が拘留中に日本人に拷問されたと主張したが、ほとんどの場合、それは事実ではないことが分かった。

宣教師たちはさまざまな面で現地人のアドバイザーだったので、彼らが無実だと思った者たちの味方をしたからと言って、あまり厳しく非難されるべきではない。