話を戻すとフルート、オーボエ、クラリネットの木管楽器の音が埋もれてしまわないようにと弦楽器群の人数が決まる。

弦楽器群の人数が決まるとオーケストラ全体の大きさもほぼ決まる。一方、音の大きな金管楽器について法則的なことを言うのはなかなか困難なので、ケースバイケースで考えていく。

一方オーケストラの大きさを表すのに一二型とか一六型などの言い方もあるが、これは本来は弦楽合奏部の大きさを表す。

一二型とは第一ヴァイオリンのパートを一二人で担当することを表し、これもバランス上の問題から他の第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの人数もほぼ決まる。

ほぼ決まると言うのは、演奏者に任されたり、現場の事情だったり、多様だ。

ヴァーグナーの場合は、オーケストラ各パートの人数まで楽譜に指定してある。たとえば『ラインの黄金』では、弦合奏部は上から一六人、一六人、一二人、一二人、八人だ。通常の一六型より第一ヴァイオリンからみると弦奏者は多く、ヴァーグナーが音を厚くしたかったことがここからも分かる。

オーケストラ全体としては四管編成だ。四管編成のオーケストラをオーケストラピットに詰め込むのだから、小さなオペラ劇場のオケピットには入りきらない。その上ハープ六台をどこに配置したら良いのだろうか。

さらに『ラインの黄金』ではステージ上(袖)に七台目のハープの指定がある。東京でのこのオペラ公演の際はハープ奏者とハープ運送業者が街にいなくなった、とのまことしやかな話が広まった。