「お、いいなそれ。久居の送別会あそこでやろうぜ」

「いや、ちょっと待て、金曜は混んでるし……」

「予約すればいいでしょ? 田野君の彼女、私も会いたいな」

「そうしようぜ、主任にも言ってくるわ。今週は無理みたいだから来週だな」

永村はさっさと席を立った。

「おい……」

永村を呼び止めようとした優人を、みどりが制止した。

「いいじゃない、ダメなの?」

「どういうつもりだよ?」

優人は声を抑えて言った。

「別に、一度顔を見たいだけよ。いいでしょ?」

「何で? 何で顔を見たいわけ?」

「やあね、何もしないわよ。純粋に好奇心よ。本当に一回会ってみたいだけ。一回だけでいいから。サックスも興味あるし」

「だから何で? らしくないこと言うなよ」

面倒はごめんだ。何で彼女とセフレをわざわざ会わせなきゃならないんだ?

「本当に一回見たいだけだってば。落ち着いてよ。何でって、同僚の彼女が飲食店にいるなら行ってみたいって、そんな不思議なことでもないでしょ。重く取らないでよ」

「写真でいいなら見せるけど?」

「やあよ、お店行くよ。いいでしょ、て言うか、止める権利ないよね? レストランに行くだけなんだから」

「お前……」

まさか本気になったとでも言うのか? まさか……。これまでのみどりの態度から、キッチリ割り切っていると安心していたのに。

「……もう行かなきゃ」

「お疲れ様、じゃあ後でね」

仕方なく売り場に戻りながら、優人は不安に駆られた。単なる悪戯心ならいいが……。

  

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