「レオンティアデスら寡頭派の巨頭たちも討ち取られ、テーバイ市民も反旗を翻した。いかがいたしましょうか、総監どの。打って出て、反逆者どもを成敗いたしましょうか?」
スパルタの兵士たちは、三人の総監、ヘリッピダス、アルケソス、リュサノリダスに向かって口々に指示を仰いだが、総監たちも狼狽(ろうばい)し、善後策が思いつかない。
「あの篝火の数から察すると、敵の数は並みではない。われらはたったの千五百。無勢で、むやみに攻めかかっては危険だ」
テーバイ人の蜂起に恐れをなし、スパルタの将軍連も反撃する胆力を喪失した。
「コリントには、クレオンブロトス王がいる。急使を派遣し、王に援軍を要請しよう」
「それがよい! 王が来るまで、われらは待機だ」
アルケソスとリュサノリダスは、あい計ると、急使をコリントに派遣し、陣地を守りつつ友軍の到来を待つことにした。
「どうやら、スパルタ兵も臆したようだな。反撃をためらっている」
「朝になれば、フェレニコスの部隊も到来する。勝算は充分にあるぞ」
ペロピダス、カロン、メロンら同志の面々と、新たに合流したエパミノンダス、ゴルギダスらは、スパルタの駐屯部隊が出撃を断念したと聞き、ひとまず安堵した。
夜が明けると、後発の同志たちも援軍を率いて到来したので、テーバイ勢は、兵力の上でもスパルタ駐屯軍を圧倒する。ここに至り、テーバイの神官たちも同志のもとに駆けつけ、
「祖国テーバイを守り、テーバイの神々を祭るべし」
と、テーバイの人々に呼びかけたので、家の中に閉じこもっていた市民たちも同志たちのもとに集まり、拍手喝采しながらペロピダスをはじめとする同志の面々を「テーバイの救済者」「テーバイの恩人」と賛美する。
そして、テーバイの市民たちは、ペロピダス、メロン、カロンを、ボイオティア同盟の筆頭行政官である「ボイオタルケス」に選出し、テーバイの総力を挙げてカドメイアのスパルタ軍を包囲・攻撃した。
「もはや、これまで」
スパルタの三人の総監、ヘリッピダス、アルケソス、リュサノリダスは、テーバイ人に対して降伏すると、
「スパルタの駐屯軍を引き連れて本国に帰還する。どうか、ゆるしてくれ」
占領軍の撤退を申し入れた。
「スパルタ軍が撤退するなら、充分な戦果であろう」
テーバイ側も、占領体制からの解放を喜び、これを受諾。ヘリッピダスら三名の総監はスパルタの駐屯兵を引き連れ、テーバイの町から撤退した。
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