言い終わる前に、すっと視線が合う。それがどれだけ幸せなことか。自然なことではない。当たり前のことではない。僕は深々と頭を下げた。
「この前は、本当にごめんなさい。せっかく前園さんが僕のために時間を使ってアドバイスまでくれたのに、その恩を無駄にしてしまった。僕が田舎に帰ったときも心配してメッセージをくれてたのに、それも無駄にしてしまった」
前園さんは黙ったまま、じっと僕の目を見つめている。前みたいな睨む感じではなくて。
「僕はいつの間にか、前園さんがいるのが当たり前になってた。でも、そうじゃなかった。ここ数日間、前園さんに会えなくて、話せなくて、それは前までの僕の生活となにも変わらないはずなのに、すごく寂しかったんだ。恥ずかしいけど、ちゃんと言うよ。僕には前園さんが必要なんだ」
前園さんの目がぱっと大きく開かれる。
「だから、前園さんにはこれからも僕の友達でいてほしい。僕はずっと、高校生のときのある一件から、友達はいらないと思っていた。
でも、僕を就活セミナーに連れて行ってくれて、慣れないカフェに連れて行ってくれて、頻繁に連絡をくれて、一緒にご飯を食べてくれて、アドバイスをくれて、怒ってくれて、全部楽しかった。
ここ最近の僕はすごく充実してたんだ。友達として、僕の相談に乗ってくれたのに、お返しができなくてごめんなさい。
僕も前園さんの話を聞きたい。前園さんのことをもっと知りたい。前園さんとずっと友達でいたいんだ」
言い終わると、静寂が僕らを包んだ。長い静寂だった。でも、大事なことだからこそ、簡単に口を開くのではなくて、思考と沈黙が必要なのだとわかる。たぶん、前園さんも同じ気持ちなのだ。
長い沈黙を先に破ったのは、前園さんの方だった。