ボクサーが体重を減らすため、コンデション作りのために走るためだけではなかった。
一歩間違えば、死に至ることはわかっている試合に挑戦する。
以前、映画で見た、ロッキーのように激しい練習をした。
何かが、ヨシオを突き動かしている。
ヨシオは、走る。
なぜ走るのか、明確な回答があるわけではなかった。
雪山に上る。リスクの高いことに、なぜ、チャレンジするのか?
有名になりたいわけではない。
たとえ成功するにしたって、誰かがお祝いをしてくれるわけでもない。
自分自身のチャレンジ、そして、戦いなのだ。
勝利したとしても、勲章はいらない。
戦える場所を与えられたことが、ヨシオには嬉しかった。
アマチュアほど、崇高なことはない。 ヨシオが初めて戦う試合で、勝つという確率はゼロに近かった。いや、まったくのゼロに思えた。
その不安を打ち消すように、ヨシオは道場で、いつもの数倍の練習をした。
「おい。随分力入っているなあ」
試し読み連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。
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