大きくなるおなかを隠せなくなり、希恵は学校を休学することになったためだ。

五月五日、待ちに待った「甦れ! ジョー、イケメン・ヤングガイ・チャンピオンシップ」の日が近づいてきた。

戦うための全ての練習はした。

本当に強いのはアマチュアだ。プロではない。なぜなら、アマチュアはお金でなく、生き様として戦うプライドのほうを選ぶからだ。

「おまえ、何でこんなことするんだ。チャラ男のうわさを聞いていたが、カラテをおっぱじめやがって、面白いやつだなお前。こんなに体絞り込んで。負けたらカッコ悪いし、怪我もする。やめるのなら今だよ」

学校から帰る道すがらのロードワーク中、単車から話しかけてきたのは、いつも飲んだくれて、ヨシオにちょっかいを出す生涯独身を標榜する牛島さんだった。

「お前が、空手の大会に出るとは聞いていたけど、何で危ないことをするんじゃ。ただ、カッコええとは思うけどな」

そういうと牛島さんは、右ポケットからウイスキーの小瓶を取り出して、一気飲みをした。

「飲酒運転じゃないか。やめろよ」

ヨシオは声を荒げて言ったのを聞いて

牛島さんは、半分首をかしげながら、そして、笑いながら走り去っていった。

ヨシオは、それから二時間ほど走りこんで家に戻った。あたりはすっかり暗くなっていた。

毎日、ヨシオは走りつづけ、道場に通っていた。