薬を混ぜられた液体を、それぞれが飲まされるか注射をされていた。あたしは最初から目立った抵抗をしなかったので、薬を注入される頻度がほかの女性より少なくて済んでいた。
あの薬は危険ドラッグというのだろうか。
いつの間にか、体を縛られている物が、ロープからガムテープに変わっていた。両手両脚をガムテープで、きつく縛られて体中が痛かった。
男が何人か外へ出ていくのを気配で感じて、部屋の外に聞こえないように、無声音で同じ部屋にいた女性に話しかけてみた。
「ねえ、あなた一緒に逃げない?」
聞こえなかったのだろうか、返事はなかった。薬の影響だろう、寒くはなかったのに、女性はガタガタ震えていた。何度か彼女に声をかけたが、返事は返ってこなかった。
人はあまりにも恐怖が強いと、ほかの一切のことを考えられなくなるらしい。
また、あたしのなかに、ここから絶対に逃げるんだという気持ちが、断固として強くなった。ほかの人を助けられるかどうかは、わからない。まず自分が外へ出て、それからだ。
(逃げるっていっても、どうやって?)
とりあえず体力は温存しておこう。あたしはそれから、ますます男に反抗しなくなった。紙コップに入った液体も、黙って飲んだ。非常に嫌だった得体の知れない注射も、抵抗せずにされた。
男はあたしを、従順なモルモットだと認識したようだった。観察していると、暴行を受けて傷害を負わされているのは、騒いだり叫んだりしている女だ。
次回更新は4月23日(木)、14時の予定です。
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監禁されているここから絶対に生きて帰りたい…。ある明け方、今だ!と直感し、そっと音を立てないように、立ち上がったところ…
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