忠賢が大人になっていた事など知りもしない、大蔵種材は、忠賢を子ども扱いすべきか、しかし彼の武威と父(権帥)の官位を尊重し、それなりに扱うべきか悩んでいた。
そう、種材は、警護所の長を誰に任せるべきかを悩んでいた。権帥の考え方を尊重するならば、実力本位で各部の長を選ぶべきであったが、その実力を未だ完璧に図り兼ねていた。
しかし百足を襲った野犬を断つ、そして自身が放った矢を断ち切る剣捌きや、その後の、弓の腕を鑑みると、彼・忠賢の能力は、十分下の者を導く実力で〝ある〟と見ていた。
種材は、過日の高明の訓示に呼ばれた一人、と言う事は、高明の推挙により秋の除目を経ず従六位下以下の官位に自身が任官されることが判っていた。
その官位に相応しい行動とは何か? 己の学の無さを嘆いていた。しかし彼は、忠賢が、既に京都で検非違使の判官(じょう)(従五位)に任官していた経歴までは、知らなかった。
その事実を知っていれば、自身より上の役も、忠賢は対処できる事は明らかであった。しかも、彼は、既に女の体を知る大人でもあった。
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