【前回の記事を読む】戦闘で折れた敵の大刀を妻の包丁にするため、刀工へ研いでもらうよう頼む。作業場にいたのは美しい娘とその父であった。自身が身に装(す)る“太刀”は、斯様にして生み出されている事を知識(経験則)として、身につける事は、彼等の好奇心を満たしていた。湧水から、かけ流しで小屋に溜まる水桶に、赤く熱し、火花を散らしていた包丁が浸かる度に湧き上がる“湯気”が、室内を程よく潤し、彼等の額の汗は…
[連載]克己
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小説『克己』【第4回】河﨑 浩
「私が手を掛けて、一からとなると、最低半年か一年は――」だが、良質の玉鋼が入手出来なければ不可能であった
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小説『克己』【第3回】河﨑 浩
戦闘で折れた敵の大刀を妻の包丁にするため、刀工へ研いでもらうよう頼む。作業場にいたのは美しい娘とその父であった。
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小説『克己』【第2回】河﨑 浩
〝粗末な〟刀にしか見えないが、触った瞬間、忠賢は、マムシと呼ばれていた男の顔を〝まじまじ〟と眺めた。「血を吸うて、おるな?」
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小説『克己』【新連載】河﨑 浩
隠岐へ流罪になった藤原千晴を監視せよ、との依頼。だが彼は、平将門の乱で名を馳せ、束になっても返り討ちに遭うこと確定の腕前で…