第2章 リスクテイキング行動(不安全行動)

3、具体事例

〈事例5;ロータリーバルブの清掃〉

あなたは、粉状の製品を製造する工場の交替職場で班長を務めています。今の時間は、夜の11時を少し過ぎた時刻です。今日は夜勤で、午後7時から勤務についています。

今、工程では数日前から製造している銘柄の最終品が流れていて、生産計画ではこの夜勤で今の銘柄の生産が終了する計画になっています。従って、明日は一旦工場の操業を止め、次の新しい銘柄を生産できるように、工場内の製品製造ラインのクリーニングを行います。

そのため、明日のスケジュールでは、大勢のクリーニング業者が工場に入ることになっています。

工程中の製品は最終的に製品ホッパーと呼ばれる巨大な容器に入ります。そこからロータリーバルブという装置を介して、1トンフレコンバックに抜きとる仕組みになっています。今日の操業は、数日前から生産を休みなく続けてきたためか、前段の乾燥工程の調子が少し悪く、製品の水分が製品規格内ではあるものの高めの値を示しています。

 
 

[写真1]1トンフレコンバック

明日は朝から工程内クリーニングを一斉に始める計画になっているため、乾燥操作と製品ホッパーからの抜出しを今夜の勤務で終了しておく必要があります。今夜中に製品の抜出しができなければ、操業が終了するまで大勢の業者を待たせることになります。「早く生産を終えないと……」との思いで、あなたは少し焦っていました。