第3章 ヒューマンエラー防止対策
2、ダメージを防ぐカベの設置
2-5 中心のL
2)力量について
職場で「力量アップのために、教育を行うことが必要である」という風に、“力量”という言葉がよく使われていると思います。
皆さんは、力量アップの“力量”について、他の表現でどのような能力なのか説明できますか。ちなみに、広辞苑(第二版)には“人の能力の大きさの度合”と書かれています。
“力量”はいくつかの能力特性をひとまとめにした言葉だと理解すべきです。その理由を“試験検査員”という職務を例に説明しておきましょう。
検査を行おうとすると、当然検査に関わる理論を知っていなければなりません。組織の活動に関わる物質に対しての測定原理、原則に関わる“知識”がなければ、検査を行うことなどできるわけがありません。
その次に測定機器を扱う・扱えるという“技能”が必要です。機械や道具を使うための理論を知ることも当然必要です。そのうえで、理論と同じく目の前にある機械や道具を実際に使うことができて、初めてその人は“技能”を有すると言えるのです。
これで、検査に必要な“知識”と検査機器を使う“技能”を身に付けました。検査に必要な能力は、これで終わりでしょうか。いやいや、これだけではまだ駄目なのです。
今、自分が行わなければならない仕事に関していうと、自分の持つ分析の“知識”と“技能”をどのように当てはめるか考え、実際にそれを実行して、結果にまでたどり着く必要があります。
結果にまで行き着く、そのためには行った検査のデータに関する理解力や解析力なども必要です。つまり、自分の持つ力を駆使して、結果にまでたどり着くための“応用能力”も必要なのです。これは、一般に職場で活用する力“経験”とも通じるところがあります。
人は、この“知識”と“技能”そして“応用能力”、この3つの能力を兼ね備えてこそ、職場において充分な仕事ができるのです。