伊豆諸島の植物の生い立ち
伊豆諸島の植物相も動物と同じように特徴的なもので、その成立に関して大場【4】は以下のように述べています。
「日本の常緑広葉林帯の火山砂礫原の初期先駆植生には、イタドリ―ススキ群集が出現するのに対して、伊豆諸島ではハチジョウイタドリ―シマタヌキラン群集が特有の植物群落となっていて、
シマタヌキランは本州の夏緑広葉林帯から高山帯下部にわたって分布するコタヌキランに近縁のものであり、このことからハチジョウイタドリ―シマタヌキラン群集は、本州中部の夏緑広葉林帯以上のところから由来したと考えられる。
また、伊豆諸島はその全域が常緑広葉林帯に属するにもかかわらず、夏緑広葉林帯以上のところに本拠のあるマイヅルソウやコイワザクラ、スズタケ、クロモジ、タチハイゴケなどが分布していて、
伊豆諸島の植物相はハチジョウイタドリ―シマタヌキラン群集など本州中部の夏緑広葉林帯にその母型が求められるものと、ハチジョウモクセイやフシノハアワブキなど九州南部以南に母型が求められるものの二つの群に大別される」
「このことから、伊豆諸島の植物相の形成がまず過去のある時期に本州と伊豆諸島の間が陸化していて、その時期に伊豆諸島およびその対岸の本州が現在よりも寒冷で海岸付近まで夏緑広葉林帯であったと考えられ、
その後に気候が温暖化して海面が上昇し、本州と伊豆諸島が海で隔てられて伊豆諸島における夏緑広葉林帯が消失して温暖環境で常緑広葉林帯の環境に適応分化したと考えられる。
そして、伊豆諸島の新固有種形成以後に海面が低下して、一部海岸付近の植物が本州沿岸に渡り、イズノシマダイモンジソウやハコネウツギ、オオバヤシャブシなどの伊豆諸島に起源をもつ植物が房総や三浦、伊豆半島の海岸に分布したと思われる」
【1】林守人・千葉聡(2009)伊豆諸島および伊豆半島におけるシモダマイマイの生態的・遺伝的変異.日本生態学会関東地区会会報,58,38–43.
【2】岡本卓・疋田努(2009)オカダトカゲの分布とその起源―伊豆半島に乗ってきたトカゲ―.日本生態学会関東地区会会報,58,44–49.
【3】疋田努(2002)『爬虫類の進化』.東京大学出版会,234p.
【4】大場達之(1975)ハチジョウイタドリ シマタヌキラン群集―伊豆諸島のフロラの成立にふれて―.神奈川県立博物館研究報告,8,91–106.
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