そして店に到着すると、出入口にあるでかい燻銀(いぶしぎん)の両開きドアが全開になり、混み入った受付カウンターで入場料を払いホールへと入って行く。

店のオープニング曲は、スロー&メローなオリビア・ニュートン・ジョンの『そよ風の誘惑』が掛かっていた。―座る場所はどこでも自由であり、正春達は先ず様子見で入口近くのシートに陣取ってみることにした。

ホール中央には床を少し高くしたダンスステージがあり、その場を囲(かこ)む様に白いソファーシートとグレーのテーブルが左右の壁沿いに結構広い範囲で配置されている。そして独立した丸型のスタンディングテーブルがランダムに大小30ヵ所以上はあったりして、ここは明らかに大型のディスコだった。

少しすると女性スタッフがドリンクの注文を取りに来た。正春はウイスキーコーク。連れの「清次(せいじ)」と「良(りょう)」はジンフィズとチャイナブルーをオーダーする。

程なくホールが人であふれ返ってくると、全体の照明がライトアップされ、複数ある色違いのカラーボールと幻想的なスポットライトによって、鮮(あざ)やかな色彩空間が美事に醸(かも)し出される。ここで高さがある天井に設置された3基の巨大ミラーボールが不揃いに回転を始めると、シルバーをベースに赤・青・黄の原色を眩(まばゆ)く乱反射させるのだ。

ホールに流れる曲もアップテンポなものに変わり、定番のアース・ウインド&ファイアーのメドレーが掛かると、皆待ってましたとばかりにダンススペースへ飛び出していき、弾(はじ)ける様に踊り始める。

フロア全体に強いビートが響(ひび)き渡り、切れ目のある音とリズムが相まって、場の空気がノリノリになってくる。激しく踊りに熱狂する最中にあっても、男の客は目ぼしい女をまるで獣(けもの)を狩るハンターさながらに物色している。

正春達は3人組の女をターゲットにしていたが、しかし今日は何度かアタックしても上手(うま)くいかない。女同士で円陣を組んで、軽めのステップを踏みながらナンパされるのを待っているというのに。

 

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