第1章 思いもよらない事態
その2 病院で楽しく過ごすために
─何でも楽しいと思えば楽しくなる─
こうして入院の準備も万端に整ったところで、本格的な治療の始まりです。まずは白血病の治療に関する基本的な知識から説明したいと思います。
白血病の治療には、「寛解(かんかい)導入療法」と「地固め療法」と「維持療法」の3段階の行程があります。
「寛解導入療法」は、骨髄のなかで増えてしまった白血病細胞を5%以下まで減らすことを目的に、抗がん剤を使用して行う治療で、期間は3~4週間かかります。最初に行う治療で抗がん剤を使用するため、食欲不振・口内炎・吐き気・便秘または下痢・脱毛・皮膚のかゆみなどの副作用が起こります。
次に「地固め療法」を行いますが、これは5%以下になった白血病細胞をさらに減らすことを目的に行う治療で、「寛解導入療法」が終了してから1週間程度の休養(体力回復など)をした後に治療を開始します。
この治療でも強い抗がん剤を使用するため、同じような副作用が起こります。治療期間は「寛解導入療法」と同じように3~4週間かかります。
最後に「維持療法」を行います。これは、白血病細胞がほとんどなくなったと判断されたときに、その状態を維持するために行う治療で、少量の抗がん剤を投与しながら体調管理を続けていくものです。
これは、完全寛解(白血病細胞がない状態)を維持した状態で1年から2年続けられ、完全寛解が5年間以上続けば急性リンパ性白血病は「治癒した」と考えられます。
また、地固め療法が終わった後で「造血幹細胞移植」を行うことがあります。これは白血病細胞の基になる造血幹細胞をほかの人のものに取り替えるもので、白血病の根本的な治療と言えるもの、いわゆる「骨髄移植」と呼ばれる治療方法です。