【前回記事を読む】駅で電車を待っていたら、怪しいおじさんがこちらを見てくる。場違いな服装をしていて、海の方へ歩き出し…

第一章 常陸の海岸を歩く

2005年に勿来から銚子までの区間を10日間で歩いた記録である。

9 日川浜

持参した昭和62年発行の地形図にある道路が通行止めになっていて、迂回せざるをえない。立派な道路がどうして通行止めになったのか不思議であった。

あとで最新の地図を見ると、居切という地域がそっくり消失していた。地面が掘り進められて港の一部と化していたのだった。

迂回した反対側にもゲートがあり、警備員が寒そうに立っていて、時折入っていく工事用車輛を見守っている。

古い地図にある寺や神社はなくなっているし、居切の集落もないのであろう。

ゲートの反対側にはもう使われなくなった道路が草におおわれていた。

今はない居切の方角を望む

傘を手にして歩く姿は奇異に映るのだろうなと思いながら歩いていくと、鉄道線路に列車が止まり、たくさんの人が集まっている。

何事かと訊いてみると、今や荷物を運ぶだけになってしまった鹿島臨港線が営業20周年を記念して一日だけの臨時旅客列車の運行を行うイベントであるという。

ここ神栖駅とサッカースタジアム駅を35分ほどで走る。鉄道マニアが盛んに写真を撮っている。

この『常陸の海岸を歩く』では鉄道に縁が深い。出発点に戻るために鉄道を利用している。すでに廃止になった日立電鉄にも乗ることができた。

今回のコースには近くに鉄道線路が敷設されているが貨物専用なので鉄道は利用できず、長い距離を歩いて駅に出なくてはならない。

このイベントを事前に知っていれば、廃線を走る電車を利用できたのであったが。

風が強くなり、少し雨が降り出してきて、傘をさして歩く。

昼時になり、雨宿りを兼ねてラーメン屋に飛び込んだ。このあたりには飲食店が少ないからだろうか、たいそうな混みようだ。

相席となり、醤油ラーメンを注文した。味はあまり期待していなかった。

だが、このような店にしてはと言ったら怒られるが、上等な味のラーメンであった。失礼したな。