第四章 連続変死事件
支店長室に秘書の長井真由子が入ってきた。
「支店長、明日、六月六日の大阪出張の件でご相談があるのですが、よろしいでしょうか?」
「いいよ」
「大阪支店の法人営業部の小林部長からご依頼がありまして、明日午後の支店長会議終了後、飯野商事の三隅大阪支社長へのご挨拶に同行してほしいとのことです」
鳥飼は川崎支店の支店長になる前は仙台支店で五年間勤務しており、法人営業部の部長をしていた。仙台支店の最大の顧客が飯野商事で、その副支社長だった三隅泰三には大変可愛がってもらった。
「明日の夜は空いているからご馳走してくれるならいいよ。そう言ってください」
「分かりました。お泊まりは北の新地の近くが良いですね」
「そうだね。ホテルは任せるよ」
鳥飼はニヤッと笑いながら言った。
「じゃあ、そのように手配します」
長井真由子は、「支店長は人が変わったなあ」と思いながら支店長室を出ていった。
次の日、大阪支店での午後の支店長会議が終わり、鳥飼が会議室で書類の整理をしていると、営業の小林部長が入ってきた。
「鳥飼さん、ご無沙汰しています。ちょっと申し訳ないことになりましてん」
「どうしたの? 深刻そうな顔をして」
「今日の二次会なんやけど、チョットしかおつきあいができひんのですわ。どうしても顔を出さんとあかんところが、できてしまいよって」
「支店長の川村さんの席か?」
「そうですねん。すんません」
「分かっているよ。あの人、自分の飲み会に顔を出さないとうるさいんだろ。一次会は大丈夫か?」
「それは、ぬかりおまへん。三隅支社長も一緒と言ってありますさかい」
川村支店長は幹部候補の一人で、東大卒、二代前の頭取の次男坊だ。そのため自分の派閥を作るのに躍起になっている。
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