2.新たな産業分類構造構築の必要性

それでは、第1次でも第2次でも第3次でもないというのはどういうことでしょうか。

大まかにいうと価値を生み出すにあたって「自然」に働きかけて物質的な「モノ」を得るのが第1次産業であり、それは何も持たない「無」に始まり何かを得る「有」に到達する実体産業であるといえます。

そして物質的な「モノ」に働きかけるのが第2次産業であり、そうした違いはありますが、それらはいずれも労働の成果物としての価値を物質的な「モノ」の形で残す産業です。

それに反して、第3次産業は労働の成果物としての価値を「サービス」として、その場で提供消費します。サービスは物質的な「モノ」ではなく、お客に充足感や満足感を感じさせ精神的な「モノ」として残す産業なのです。

それでは「情報」を売買する産業は第1次産業でしょうか? 第2次産業でしょうか? それとも第3次産業でしょうか? 「情報」は物質的な「モノ」ではなく、お客自身が価値を決め充足感や満足感を感じるための精神的な「モノ」として、従来は第3次産業の中に概括されていました。

しかし、1955年以降の日本高度経済成長と1995年以降のインターネットの急速な普及によって、自作したプログラムや画像、音楽など本来知財権に絡むデジタルコンテンツといった情報の提供などが、従来の第3次産業部門のサービス提供という概念から性格が異なる産業として同じ産業に分類されることに無理があるのではと考えられるようになってきました。

そこで「情報」を売買する産業を第4次産業として独立させるべきではという新たな産業分類の提唱がまことしやかに囁き始められるようになったのです。

そもそも「情報の価値」とはいったい何でしょう? 情報の価値とは必ずしも絶対的なものではなく、そのほとんどが相対的なものであると考えられるところに大きなその特徴があります。買う側の趣味嗜好によってその価値は決定されます。

誰しもが同じ価値を感じるといった絶対的価値といったものは少なく、本人は価値を感じるが他人は全く価値を感じないかもしれないといった相対的価値によってデジタルコンテンツが売買されています。

この新たな産業となる第4次産業(第4次元産業)の詳細について、次章で新たに提唱する「新産業M分類理論」を参考にしながら本稿の最終ページでその全体構造の解明を試みました。

そこで次章の前半では、新産業M分類理論の考え方の背景となる「産業」/「文明」/「効率化」という3つのポイントから、これまでの人類の歴史を探ってみたいと思います。