「難しい女風の世界」【セラピストK】

セラピスト〝K〟として無事にデビューしたとはいえ、すぐにお客様がつくわけではない。覚悟はしていたが、自分を売り込むことの難しさに直面し、このまま続けることができるのかと不安な日々を送っていた。

とにかく、指名していただいたお客様へ今の自分ができる精いっぱいの真心で接するしかない。

デビューしたてでお客様に会うときは、僕も緊張していた。けれど、それをお客様に見せることはできない。無理をしてでも余裕を見せ、お客様の緊張をほぐす会話、そして、ボディタッチ、エスコート、さらにマッサージ。

どれが正解なのかわからない。いや、正解なんてないのだろう。

ただ、お客様がリピートしてくれたときは、何とも言えない喜びを感じることができた。まだ拙い性感マッサージも自己研鑽して腕を磨くしかない。

一つ残念なことは、二度と指名をしていただけず、会えなくなったお客様。何がダメだったのかを聞くことは不可能で、その答え合わせはできないままに終わってしまう。

それでも、目の前にいる女性をどこまで幸せに導けるのかをそのときの僕は、いつも必死で探して動いていた。もちろん、その必死さは表には出さないようにしながら。

とはいえ、なかなか思うように指名はつかない日々。自己肯定感は下がる一方。それでも続けるしかないと自分で自分を奮い立たせるしかなかった。

 

次回更新は3月25日(水)、22時の予定です。

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