「ヘリの赤外線センサーが妨害されている! 位置を特定できません!」ブラックホークヘリのパイロットが地上へ報告する。だが、それでもヘリは懸命に車両の動きを探り続けた。

「長くは持たない。次のポイントで仕掛けるぞ」カイザーが無線で指示を出す。

逃走ルート上には、事前に配置された囮車両があった。山道の分岐点で待機していたこの車両は、見た目が特殊車両と酷似しており、コンテナが積まれているように見える。カイザーの指示で、この囮車両が分岐点から進み出た。

追跡ヘリは囮車両の方に引きつけられ、カメラがその姿を捉えた。「目標車両を発見、追跡を継続する!」ブラックホークヘリコプターのパイロットが興奮気味に報告する。

その間に、カイザーたちの車両は逆方向の道を選び、山中の未舗装路へと入った。この道は通常の地図には記載されておらず、襲撃チームが独自に見つけた抜け道だった。

自衛隊の車両も、地上から山道を追跡していた。舗装道路から未舗装路へ入った時点で、追撃車両のスピードが落ちた。夜間という条件もあり、視界が極端に悪い。

「先行車両を確認、距離500メートル!」自衛隊車両のドライバーが報告する。

しかし、未舗装路の狭さを利用して、襲撃チームは道の途中に事前に設置していた鋼線を展開した。細く強靭な鋼線は、気づかずに進んできた追撃車両のタイヤに絡みつき、タイヤをバーストさせた。

「タイヤがやられた! 停止する!」自衛隊の車両が悲鳴を上げるように止まる。その間に襲撃車両はさらに距離を稼ぎ、安全圏に近づいていった。

襲撃チームが山間部の開けた場所に到達すると、待機していた輸送ヘリが姿を現した。大型のCH-47チヌークは、ローターの風圧で草木を大きく揺らしながら、低空でホバリングしている。

車両の上部に取り付けられたフックがコンテナをロックし、わずか数十秒で吊り上げを完了した。襲撃チームは車両を放棄し、ヘリコプターの内部に乗り込む。

「全員搭乗確認。コンテナも固定完了。発進する」

パイロットが冷静に告げると、ヘリは急上昇し、山中を一気に抜けて国際水域へ向けて飛び立った。

自衛隊と追跡ヘリは、未舗装路の終点に到達したが、すでにコンテナと襲撃チームの姿は消えていた。残されたのは使用済みの装備品と、細かく計算された痕跡だけだった。

「やられたか……」自衛隊の指揮官が拳を握り締めた。追撃部隊はその場で調査を開始するが、プロフェッショナルな襲撃者たちの痕跡は限りなく少なかった。

 

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