【前回の記事を読む】トマホーク巡航ミサイルの輸送中。トンネル内で突然照明が消え、無線がつながらなくなった!次に起こった異変は…

第一章 トマホーク強奪と裏切り

襲撃

トンネル:25時45分

「時間切れだ、撤退を急げ!」カイザーが叫ぶ。

閃光弾が投げ込まれ、襲撃者たちの動きを一時的に鈍らせるが、彼らはすぐに姿勢を立て直し、自衛隊員を圧倒する。襲撃者たちは非致死性の武器を使用しており、自衛隊員を殺さずに無力化する意図が見え隠れしていた。

数分後、コンテナがトラックから降ろされ、襲撃者が持ち込んだ小型の専用車両に素早く移される。車両の後部には磁力式の固定装置が備わっており、コンテナはガチリと音を立てて固定された。

「離脱開始!」リーダーが叫ぶ、「目標コンテナを確保。撤収開始撤収開始!」

カイザーの声が響く中、襲撃チームの特殊車両がトンネルの非常口から山道に向けて走り出した。後部にはトマホーク巡航ミサイルのコンテナが固定され、エンジンの音が静寂を切り裂く。

襲撃者たちは自衛隊の運搬車両に火を放ち、残る自衛隊員を煙幕で覆いながら撤収を開始した。黒い車両はトンネルを抜けると、すぐに別の小道に入り、待機していたヘリコプターに接近した。

コンテナを特殊車両に固定した襲撃チームは、素早く車両を後退させ、トンネルの非常口から逃走を開始する。同時に、出口付近に仕掛けられた小型の爆発装置が作動し、道路上に瓦礫を撒き散らした。これは追撃を遅らせるための罠だった。

山間部の狭い舗装道路は急カーブが続き、速度を出すには技術が必要だ。運転席のウルフは、汗ばむ手をハンドルに固定しながら、夜間用の暗視スコープを装着して進路を正確に捉えた。

襲撃者たちは、用意していた山中の別ルートを使い、待機していたヘリコプターへと向かった。トンネル内に残された自衛隊員たちは、通信が回復するまで、何が起きたのか全容を把握できずにいた。

ヘリのローター音が夜空を震わせる中、車両ごとコンテナが吊り上げられた。地上では、自衛隊員たちが必死に追跡の準備を進めるが、ヘリはすでに闇夜の中に姿を消しつつあった。

その場に残されたのは、無傷で拘束された自衛隊員たちと、完全に空になった炎に包まれた輸送トラックだった。

誰が、何のためにトマホーク巡航ミサイルを強奪したのか。その答えが分かるのは、まだ先の話である。

一方で、トンネル内部の自衛隊員たちは、通信が回復すると同時に緊急応答部隊へ連絡を開始していた。

「こちら護衛車両! トマホーク巡航ミサイルが強奪された。相手は高度な装備とスキルを持った集団、現在逃走中!」

上空の衛星を経由した情報共有により、襲撃チームが使用している車両の種類や逃走経路が瞬く間に分析されていった。防衛省の緊急対策室では、画面に映し出されるデータを前に、指揮官が厳しい口調で命じる。

「地元警察との連携を図り、山道に検問を設置しろ。さらに、追跡用のヘリを現地へ派遣だ」

数分後、上空にUH-60ブラックホークヘリコプターが現れる。赤外線センサーを搭載した追跡ヘリが、逃走車両を探し始めた。

「追跡ヘリを確認。作戦計画どおりに進める」

特殊車両の中で、リリーが制御端末を操作する。後部荷台に設置された電波妨害装置が再び稼働し、上空の追跡ヘリコプターにノイズを送り始めた。