倉庫が武装強盗に襲われチーフが撃たれたとの報を受け、高倉は急遽執務机下の非常用ボタンを押した。

しばらくそのまま倉庫の方の様子を伺っていると、すぐに警備会社の車がきた気配があった。警察より早い。

タイヤが強奪されるのは痛くないと言えば嘘になるが、それよりも従業員に危害がおよぶのは絶対に避けたい。チーフが撃たれたとはどういうことか?と気をもんでいた。

倉庫の方の状況を携帯で確認していたカンパニー・セクレタリ―のアンドルー・レクレアが、
「どうやらもう強盗は逃げたようです。行ってみましょう」
と言ったので、高倉はアンドルーとアンネマリーと共に現場へ向かった。

「チーフが強盗に拳銃で撃たれました。幸い腕に当たっただけで、命にかかわる傷ではないようです。彼は明日からの休暇のために、近くのショッピングモールにあるATMでお金をおろしました。それを見られていたようです。彼の車を黒人の車が追い、彼が倉庫の駐車場に戻って車から降りたところを襲ったようです。

強盗は二人で、チーフに拳銃を向け、シートにおいてあったお金の入った袋を奪いました。チーフがそれを取り返そうと抵抗したので二発撃ってすぐに逃げたそうですが、そのうちの一発がチーフの腕に当たったのです。警備会社の車で病院に行きました」

倉庫の担当者はそう説明した。

マシンガンだったらひとたまりもなかっただろう。高倉は少しホッとしながら、

「とにかく命にかかわるようなことではないようだし、流れ弾が他の従業員に当たらなかったことも救いだった」
と呟いたところに警察が来て、現場検証を始めた。

検証の間に彼はアンドルーにそっと耳打ちした。

「いま説明をしてくれた倉庫係は若いがなかなかしっかりしているようだな。色は黒いがアジア的な顔だからカラードかな?」

これが高倉と倉庫係ピート・ダンとの最初の出会いであった。