【前回の記事を読む】毛先を遊ばせていた髪を、突然坊主にした友達…「部屋で待ってて」と言うと、なぜか正座で待っていて…

第五章「居場所」

こんな隼人はこれまで見たことがない。

「……で? どうしたの?」

「……透、俺……取り返しのつかないこと言っちゃった」

「え?」

「雫ちゃんにフラれた。それで……嫌われた」

と、隼人は言う。フラれたって、そもそも告白したなんて初めて聞いたし、嫌われたって何があったのか全く見当もつかない。

「ちょっと待って、いろいろ事情がわからないんだけど」

「俺……本当に無神経だったんだよ」

「隼人?」

膝の上にぎゅっと握り締めたこぶしを置いて、目に涙をためて肩を震わせながらいう隼人をまずは落ち着かせないことには話が進まない。

「もうどうしたらいいか……。全部わかってたはずなのに……」

「待って、ちゃんと聞くから。最初から話して」

なんでも隼人が言うには、文化祭の最終日に雪野さんを屋上に呼び出して、告白をしたという。文化祭でみんな浮かれて多くのカップルができていたから、自分もその勢いに乗って好きだと伝えたらしい。

「でもフラれたからって、嫌いにはならないんじゃない?」

「違うんだよ。雫ちゃん断ったあとすっごく申し訳なさそうで、今まで通り仲よくしたいって言ってくれたんだよ」

「じゃあなんで?」

「ショックだったけど、そう言ってくれて安心したんだよ。それでそのあとも少し二人で雑談してて……」

「……うん」

「久しぶりに二人っきりで話せるのが嬉しくて……。俺、浮かれて……」   

続きを言おうとしたところで、隼人は目を押さえて泣き崩れた。ゆっくりでいいから、と声をかけて隼人が自分から話してくれるのを待つが落ち着く様子は全くなくて、それでも声を振り絞るように再び言葉をつないでいく。