璃子は控え室で冷たいお茶を飲みほした。

二時間近くに及んだセミナー。会場のざわめきがまだ耳に入ってくるが、セミナーの緊張から解放されたせいもあり、気にならない。

かつて世界的に著名な経営学者のピーター・ドラッカーは「物流とはビジネスにおける二十世紀最後の暗黒大陸だ」と言った。その言葉には「二十一世紀には物流の可視化が進み、暗黒大陸が文明大陸に変わる」というニュアンスもある。

物流こそが二十一世紀のビジネスで中心的な存在になるというのだ。物流AIの導入により、企業が物流課題を解決し、それまでとは別世界のような効率化と最適化を遂げるだろう。

しかし璃子自身は、その進化、発展に貢献できるという達成感はあるものの、物流・ロジスティクスのすべてがAIによって行われる「新世界」を、心から歓迎できないのだった。

コロンブスが英雄と讃えられる一方で、侵略者や奴隷商人として非人道の象徴にされているように、この革命的な進歩にもそれぞれまったく違った見方がある。

 

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