人工知能(AI)の研究は、その名の通り、人間の脳の機能をコンピュータ上で再現できないか、というチャレンジの歴史であった。
世界最初の汎用電子式コンピュータとして「ENIAC(エニアック)」が1946年に完成し、翌年にはアラン・チューリングによってAIの概念が提唱されている。意外かもしれないが、AIの歴史はコンピュータの開発の歴史とほとんど同一といっていい。
現代「AI」の基盤がつくられたのが、1956年に米国ダートマス大学で行われたダートマス会議で、人工知能や情報工学をけん引した多くの研究者が参加し、AIについての基本的なアイデアのブレストを行ったといわれている。ここで人工知能(AI)という名称も誕生している。
その後、AI開発は長期間の低迷が続いた。
特に1990年代後半から2000年代前半までのAI研究は大きな進展はなく、AI冬の時代と呼ばれている。日本でも、政府が中心になり「第5世代コンピュータ」なる大型の国家プロジェクトを立ち上げ、500億円以上の予算を投入したが、大きな成果を得ることはできなかった。
しかしその後、長年の低迷状態を脱する起死回生の逆転打が放たれた。そう、機械学習である。
特に第3次AIブームを巻き起こした「深層学習」は、すさまじい発展を遂げた。インターネットとビッグデータを処理する計算機技術の進化が、それを実現させたといえる。
そして2045年を境に、予測されていたシンギュラリティ(技術的特異点)の兆候が現れ始めた。人間の知能と遜色のない性能を発揮し、指数関数的に能力を伸ばした。
その後のAIの進化はとどまることを知らず、現在ではあらゆる社会生活のインフラといっていい地位を獲得している。その結果、AIに物流センターの運営を任せる「AI物流センター長」がいくつかの巨大物流センターで誕生している。
なかでも璃子がセミナーで触れている「ロジマザー」は量子コンピュータにナノテクノロジーを組み合わせた最先端のAIが運営する「神の領域に迫る物流センター」といわれている。