【前回の記事を読む】クマと遭遇してしまったら…逃げずに大声を出して、両手を大きく広げ体を大きく見せる。するとクマは…
ナンシン共和国の章
友だちと冒険篇
海望三勇士の冒険
牧場は、さすがに開けていて、なだらかな斜面が気持ちいい。
漫画で見たハイジの気分になって「ヤッホー」といってみた。
返ってこないなあ……
岳斗が聞いた。「“やまびこ”と“こだま”の違いを知っているかい?」。
「知らない」。「知らない」。
3年生は、なぞなぞやクイズの部類が大好きだ。
「やまびこは、山や谷で大きな声を出し、向かいの山から返ってくるようなときのことだし、こだまは、平地や狭い場所などで起こるもので、単なる反響のことだよ」。
「へーそんな違いがあったんだ」と大輔と広矢。
「じゃあこれ知っている??」と今度は、なぞなぞと、クイズ合戦で盛り上がりながら、しゃべりっぱなしで、ふもとを目指して下りていった。
もうすでに、クマにあったことなど、すっかり忘れてしまった。
§
岳斗は思った。
気の合った友だち同士で、どこかへいっても、よほど目を奪うほどの美しい景色でない限り一緒にいることは、友情の深め合いに終わってしまうな……。
友だちと向き合うことと、自然と向き合うことでは、何か違うんだな、と感じた。
トム・ソーヤの冒険を読んだワクワクした気持ちを、自然の中で味わうために、海賊ごっこや宝探しをして、ハラハラドキドキしたかった。
クマにはあったけどね。
大輔と広矢と岳斗の関係はまだ、冒険心にはほど遠く、今までお互い知らなかったことを確かめ合う、相手を知ることが冒険といったところだ……。
5、6年生ころにならないと、本当の冒険心は出てこないかな……と思った。
何しろ、3年生のみんなといると、楽しくてしょうがないんだもん!
大人はどうして意地を張るの?
気になること……3年生のみんなとは違って、ナンシン共和国はどうなっているのか……。
争いごとがだんだんと増えてきているみたい。おじさんに聞いてみた。たくさんの人の、本音と建前がけんかして、周りの人を巻き込んでいるといっていた。
岳斗は思った……。
僕のクラスにも、けんかばかりしている友だちは、たくさんいる。
でも、話し合って意地の張り合いや、勘違いだとわかったら、恥ずかしくなることもある。「ごめん」と謝るときと、僕は悪くないぞ! と意地を張るときもある。
だいたいは「ごめん」といって、仲直りしちゃう。そのほうが楽しいもん。けんかは飽きちゃうし。