【前回記事を読む】バリュー投資家はPER・PBRを重視しない——彼らが「この企業は将来成長する」と評価する基準とは

第3章 タイプ別・機関投資家の思考法

利益よりもキャッシュフローを重視

彼らが重視するのは、利益ではなくキャッシュフローです。ウォーレン・バフェット氏や他のバリュー投資家が説いていることからも、私の理解は間違っていないと思います。

キャッシュフローは営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー+財務キャッシュフローで計算され、最終的に年間のキャッシュの増減が導き出されます。

なかでもバリュー投資家が重視するのは、営業キャッシュフロー+投資キャッシュフローによって計算されるフリーキャッシュフロー(余剰資金)です。

フリーキャッシュフローは税引き後営業利益+非現金支出−運転資本の増減額−投資額によって計算されます。フリーキャッシュフローが企業価値であるという考え方が正しいと考える理由は大きく2つあります。

税引き後営業利益(NOPAT)から差し引く運転資本が事業を継続するために必要な資金であり、効率性を高めれば、同じ売上高を生むのに必要な運転資金を減らすことができるものです。

また、投資額は設備投資などがメインですから、将来の売り上げやNOPATの増加をもたらす支出を意味します。運転資本の効率化による減少があれば、企業はそれによって浮いた資金を投資に投じることもできるわけです。

重要なのは、フリーキャッシュフローが将来的に拡大を見込めるかどうかの見極めです。バリュー投資家は、フリーキャッシュフローの予想を重視します。

投資対象の企業がプラットフォーム型のリカーリングビジネスの構造であれば、脅威となる企業や産業が現れるまでは比較的安定的なポジティブフリーキャッシュフロー(=キャッシュインがキャッシュアウトを上回る)を見込めます。

一方、新企業への投資が積極的な企業、または、設備投資によって売上拡大を図る成長局面にある企業は、投資フェーズの1~2年はネガティブキャッシュフローを予想するものの、回収期の3年目以降はポジティブに転換し、その後数年間はキャッシュインを拡大させます。

そうしたシクリカリティ(循環)が持続的なものかどうかも、重要な見極めどころと言えるでしょう。