【前回記事を読む】決算発表直前のリスク…短中期トレードの場合、新規に買いや売りのポジションを持つべきではない理由は……

第3章 タイプ別・機関投資家の思考法

機関投資家の行動パターンを知る

ここで、機関投資家のいくつかのタイプをご紹介したいと思います。

ロングオンリー バリュー投資家

バリュー投資家は、人々が見向きもしなくなった企業の将来性を見出すことで、より低位な株価水準で買いでエントリーする投資家の総称です。

企業の潜在能力を独自の分析モデルで数値化し、彼らがフェアバリューと考える水準を株価が下回った時に投資の決断をするのです。

私もアナリスト時代に、何人ものバリュー投資家の方々とお会いしました。バリュー株と言われるバリュエーション(企業価値評価)は低いのですが、業種の人気度や業績面から高い倍率が付与されないわけで、投資を決断したとしても、株価の上昇までは時間を要することが多いです。

バリュー株のスクリーニング方法は多種多様だと思いますし、ファンド(運用会社)によっても、伝統的な手法があります。

セルサイドアナリストだった私には、彼らの独自の意思決定のためのモデルを知る由はありません。

ただ、1つだけ共通していたのは、彼らが大きなボリュームの買いの意思決定の際、必ず検討対象の企業のマネジメントとのミーティングを行うことです。事業会社のマネジメントはSR(株主対応)は行うのですが、IRに対しては、必ずしも積極的とは言えない場合が少なくありません。

そこで、SRとIRの違いについてここでお話ししたいと思います。

SRとIR

SRとはShareholder Relationsの略です。簡単に言えば、既存の株主と良好な関係を築き、継続保有してもらうのが目的です。業績が良好な場合には買い増しを期待しますし、逆に悪化した場合には、持ち株を減らされないように業績回復のための説明を行います。

一方、IRはInvestor Relationsの略で、投資家全般が対象になります。もっとも、効率性の観点から、機関投資家が対象になり、225に入っているような企業の場合は、IRの部署が対象とするのは、多くの場合、機関投資家です。

IPO(新規上場)して間もない、例えば、グロース市場(成長可能性がある企業向け市場区分)上場銘柄のIRは、個人投資家対応が中心になるでしょう。

225対象銘柄の経営トップは、最近では欧米やアジアといった海外機関投資家を定期的に訪問するようになりました。

しかし、限られた日程で訪問できる投資家は限られます。例えば、ニューヨークに3日間、1日5社の投資家を訪問しても、15社です。

恐らく半分はSRでしょうから、将来のポテンシャル株主に対するいわゆるIRは、7~8社というところでしょうか。しかも、大手ヘッジファンドは、直近株主でなくとも、過去に株主であった記録から再び買いエントリーする可能性が高いことから、IR訪問件数に含まれるでしょう。