「三組は僕たちがいた学校のやつらばっかりみたいだから」
「そうなんだ、うらやましいな」
「大丈夫だよ! 俺たちが雫ちゃんと仲よくするし!」
「……ありがとう。よろしくね」
思いのほか大きく声を張り上げてしまった隼人に彼女はちょっと驚きながらも緊張の糸がほぐれたみたいで自然に笑みがこぼれている。
「えっと、雫さんの苗字は?」
「あ、雪野です」
「……雪野さんは帰りこっちなの?」
「うん、この道をまっすぐ行ったらすぐなの」
「そっか、気をつけて帰ってね」
「雫ちゃんまた明日」
雫ちゃん、と初対面の女子を隼人のように下の名前で呼ぶのはちょっと気恥ずかしい。
手を振って彼女を見送り、僕たちも帰路につく。その間ずっと、名前を覚えてくれていたからきっと自分に気があるとか、声が可愛かったとか、雪野なんて苗字まで似合っているとかいう話をはいはいと適当に聞き流しながらも、昨日までとは違う帰り道に新鮮な気持ちで僕も胸を躍らせていた。
一週間もすると教室内からよそよそしい雰囲気もすっかり消え去り、仲よしグループができ上がっていた。
僕は相変わらずの隼人と小学校のときから同じクラスだった悠人(ゆうと)、サッカー部に体験入部に行った日から仲よくなった拓也(たくや)の四人グループでいるのが日常になった。
授業中におしゃべりしたり、掃除の時間にほうきと雑巾で野球をしたりしてよく先生たちに怒られているような、ちょっと騒がしいメンバーだ。クラスの盛り上げ役といえば少し聞こえがいいだろうか。
まあ僕は率先して騒ぐようなタイプではないから、お調子者の隼人や悠人にいつも巻き込まれてしまっているだけなんだけど、一緒にいる時間はとても好きだ。
次回更新は3月2日(月)、20時の予定です。
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