【前回記事を読む】再生可能エネルギーの年間発電量のうち、太陽光は43%を占める。しかし他の再エネと比較して、極めて低い指標が

第1章 日本と欧州の再エネ事情を比較検討

1-1 地球温暖化解決の鍵となる再エネ
〜偏った日本の再エネ事情〜

(2) 固定価格買取制度の歪みが生んだ再エネ乱開発と小水力発電

近年発行の再エネ関係の複数の本には、菅義偉内閣総理大臣(当時)による、50年までのカーボンニュートラル宣言を特記しているが、09年9月に民主党の鳩山由紀夫首相(当時)の宣言がより日本の再エネ普及に貢献した。すなわち20年の中期目標については、2020年までに1990年比 25%削減という目標の発表である。

「この削減目標達成のために2012年7月から再生可能エネルギーの全量買取制度が開始され、同年10月からは地球温暖化対策のための課税の特例が実施された」1

こうして制定された固定価格買取制度(以下、FIT制度)により、日本の再エネは確かに拡大したが、その日本式の独自運用制度がこの制度に歪みを生んでいくことになった。

ここでそもそもFIT制度が何なのか、少し説明するとしよう。この制度は四半世紀の運用と改正の歴史ある欧州(本稿1-2~1-5を参照)と比較して、日本の制度の歴史は浅い。

FIT制度は、再エネの電気を電力会社が一定期間同一価格で買い取ることを国が約束した制度だ。世界の多くの国が採用している。種類は太陽光、風力、水力、地熱発電、バイオマスがある。これらの建設コストや維持コストが高いので、従来よりも高いコストで買い取る。それによって、参入者が増え、競争力が高まり、急激な価格低下が起こった。

その差額は、国民が使用電気量と共に請求される賦課金で負担している。

「それは決して無駄なコストを消費者に転嫁するものではなく、次世代に負の財産を残さないための『投資』であり、『次世代の富の移転』なのです」と安田陽教授はミグル・メンドーサ、デイビット・ヤコブ、ベンジャミン・サヴァクル著『再生可能エネルギーと固定価格買取制度(FIT)―グリーン経済への架け橋』(京都大学学術出版会、2019.11.20)の翻訳書序文に記している。

しかし、ここで示したFIT制度適用の再エネはすべて良いのか、という疑問を本稿では投げかけている。例えば、NPO法人バイオマス産業社会ネットワークの理事長・泊みゆき氏は「バイオマスには、良いバイオマスと悪いバイオマス」があるといつも主張している(ご本人談)。

問題は、植物は燃やすとCO2を出すが、成長の課程でCO2を吸収するので、排出と吸収によるCO2のプラスマイナスはゼロとなる、というバイオマスの「カーボンニュートラル」の危うさだ。