関西へ

お互いの日程を調整し、秋の京都を照将さんと車でまわりました。雨降りだったと記憶しています。

出かけることになったきっかけは、二人揃って映画を観たことです。

その作品は、『時雨の記』という中里恒子さんの小説を、吉永小百合さん、渡哲也さんの共演で映画化したものでした。

小説は、熟年男女の不倫を描いている作品ですが、みずみずしい初恋物語のようでもあり、確かな審美眼を持っていながら多くを欲しがらないヒロインは、私のあこがれでした。

私は、照将さんに出会う前に小説を読んでおり、気に入った作品でした。

偶然にも照将さんに出会い、この小説に似たような状況で、京都行きを思ったのでした。

京都で、私は「どうしたらよいのでしょうか」と問いました。照将さんは、「どうにもならない。離れられない」とだけ言いました。私は、何も言わずについていくしかないと思いました。私はこの時、このままでよいのか、別れたほうがよいのかと、これからのことを思いあぐね、照将さんの考えを聴きたかったのですが、はっきりした言葉がないままで、先のことを思うと一抹の不安がよぎりました。

やすらぎの坂をたどれば
みほとけの 心に誓う
ひとすじの道
(照将さん作)

照将さんは、「ずっと、ひとすじを貫きたいと思っている」と言いました。

私は、京都で照将さんが詠んでくれた句を、二人で手にした紅葉の葉と共に大切に心に刻みました。

そして、これからも二人で生きていくことを決意しました。

次回更新は2月4日(水)、19時の予定です。

 

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