はじめに

私は今、不治の病、難病を抱えながら介護の仕事をしています。

六十五歳を過ぎてからの新しい世界ですが、この仕事をするには、藤谷照将さんの存在が大きくありました。照将さんはあるところの地方議会議員です。

照将さんとは、およそ三十年、人生を共に歩んできました。

支え、支えられてきた存在であると思っています。

私たち二人は、世で言う不倫の関係ですが、相思相愛、単に身体を求めあうことばかりではなく、長い人生を生きていくために、いなくてはならない存在でした。

今、二人は人生の終盤となり、老いを迎えました。

私は、これまで共に歩んできた二人の時間を、ただ思い出として残すのではなく、文章の形で残すことが大切と考え、心の赴くままに書くことにしました。

私は、生来、文章を書くことは苦手ですが、書くことを心に決め、事実を忠実に、折々のことを書くことで、二人のおよそ三十年というかけがえのない時間を過ごした証にしたいと思います。

拙文ですが、共に歩んだ人生をありのままに書きますので、ご理解いただけましたら幸いです。