1 出会いと恋の始まり

私が照将さんと初めて会ったのは、今から三十年以上前のこと、仕事で議員秘書をすることになり、初めて議員となった照将さんと会いました。

一議員と秘書として、仕事上のお付き合いで始まり、三年ほどが過ぎた頃、二人が親しく近づく出来事がありました。照将さんの首長選挙への出馬でした。

このことがきっかけとなり、私は照将さんと深くお付き合いするようになりました。

出会い

当時、私は、就職し二十年近くが過ぎ、その間に結婚し三人の子どもを産み、父母の住む実家からA市へ電車で通勤していました。

実家は、職場まではどんなに急いでも一時間以上かかる距離にありましたが、夫は転勤が多く長く離れて暮らさざるを得ない状況でもあり、

そして子育ては女がやるという考えの夫の協力を得ることが難しいこともあって、子どもを抱えながら仕事を続けるには、父母の協力なしにはできませんでした。

私は農家の跡取り娘で、夫とは見合い結婚をしましたが、仕事でストレスを抱え情緒不安定な夫と諍(いさか)いが絶えないながら、子どものために必死に家庭を維持しようとしていました。

私の両親は、その状況を招いた夫に不満をもっていましたが、何も言わずに私と孫を見守ってくれていました。私は、子どものために、夫婦関係を続けようと必死でした。

そのような状況の中、私は職場の異動で、初めて議員となったばかりの照将さんと出会いました。

私は、思いもよらず議員のお世話をする秘書となったのです。考えたこともない職場の異動に戸惑いながら、初めての慣れない仕事に、毎日、緊張の連続でした。

十人ほどいる同僚の中で一番年下ということもあり、雑務はもちろんどんなことも率先して仕事を引き受けてこなしていかなければなりませんでした。