「ちょっと、あのひとのたくらみを手伝うことになる」
「ここは、どないすんの?」
「ここは、タエさんとみんながいれば大丈夫だ」
大テーブルでは、棟梁を中心に、記念撮影がはじまっていた。
〈Patina〉――国籍・年齢・性別・職業、不問。それぞれが働き学ぶ毎日に、ひそかな違和感を持つところだけが共通。そんなひとたちが、少しだけ本気で自分の想いを話せる場は、そうカンタンには、しょぼくれないだろう。
システムに沿って、セオリー通りに考えることが安心だと思うのではなく、異見・私見が飛び交う場に心の躍動を感じることには、価値があるのだ。特に、これからは。セイちゃんも、この店、頼んます。
「60代がすぐそこに見えてきたのに、あちこち走りまわるような仕事は、どうだろうかと迷ったけど。世耕さんの話、面白そうだから行ってみるよ」
「走れ走れ、能美誠一。あんたは走れメロスくんや」
オッチャンは、ロックグラスに残ったワインを飲み干し、ふと息をつく。
「ワイらは、たいした成功者でもない。圧倒的な解決をもたらす方程式も、持ち合わせておらん。でもな……こんなワイらのちいちゃなバトンでも、どうか誰かに、渡してくれ」
3本目のワインが、まだボトルに残っていた。ネイビーはそれをふたつのグラスに分け合いながら、元同僚に笑顔で声をかけた。
「オッチャン。おれたち、まだ伸びしろがあると思うぞ」
次回更新は2月25日(水)、11時の予定です。
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