【前回記事を読む】リンゴ・スターを嫉妬させた「歴代最高のドラマー」。ビートルズに所属していた彼は、なぜ脱退したのか。
第1章 ビートルズがビートルズになる前 Before The Beatles became The Beatles
③ドラマーを探せ!
ノーマン・チャップマン
ムーアに脱退されたビートルズは、また一からドラマーを探さなければなりませんでした。
ある夜、ビートルズとウィリアムズが街中を歩いていると、どこからかドラムを叩く音が聴こえてきたのです。その音が聴こえてくる建物の2階に向かってウィリアムズが大声で呼びかけました。
すると、男が窓からヒョイと顔を出したのです。その男がノーマン・チャップマンです。
彼も会社員で、ドラムは、趣味として叩いていたのです。ポールがメンバーに加わってくれるよう交渉し、チャップマンも受け入れました。
いやはや、こんな偶然があるんですね。
彼もアマチュアながら相当な腕があり、すぐにメンバーに溶け込んで早くもバンドの一員となり、クラブでの演奏に参加しました。
やれやれ、これでやっとドラマーを確保できたとビートルズが安心した途端、予想もしなかった不幸が彼らを襲いました。
なんとチャップマンが徴兵されてしまったのです! 彼は、ケニアとクウェートで2年間兵役を務めることになりました。イギリスの徴兵制ももう終わりかけの時期だったんですが、最悪のタイミングに当たってしまったのです。兵役は2年間でしたが、帰国したのはいつだったか正確には分かりません。
しかし、もし、それが1962年7月だったとしたら、ピート・ベストが解雇されたのが8月ですから、ギリギリで間に合ったことになります。
その時に彼が急いでブライアン・エプスタインのオフィスを訪れていれば、彼がビートルズのドラマーとしてメジャーデビューしていたかもしれません。彼がそうしなかったのは、彼にその気がなかったからです。
ムーアがビートルズを脱退したことを後悔したのに対し、チャップマンは、ビートルズになれなかったことに何の未練もありませんでした。これは強がりでも何でもなく、本当にその気がなかったのです。