「中野里紗です」

と、こちらもあいさつをすると、

「どこから来たんですか?」

と美羽が尋(たず)ねてきた。

「神奈川の厚木からきました」

「私は、千葉の市川からきました」

美羽が言うと、

「私は、東京の豊島区からです」

と美紀恵が続けた。

ほどなくして、動きやすい服装で階下に集まるように指示されたので、三人は、部屋でそれぞれ着替えて移動した。

参加者は全部で十五人。オリエンテーションを受け、断食の説明をされた。その後、さっそく正しい立ち方と歩き方の講義が始まり、グループワークも交えながら進行していった。

グループワークは、まずは同じテーブルに座ったメンバー同士で自己紹介することから始まった。里紗のテーブルは、美羽と美紀恵、それに、東京から来た榎戸(えのきど)香菜子さんという人と、埼玉から来た諏訪(すわ)あかりさんだった。

そうして少し打ち解けたところで、〈痩(や)せたら誰に見てもらいたいか〉という講師からの問いに対して、グループで話し合った。

「私は……会社の人」

と美羽。

「夫と子どもたちかな」

香菜子が言うと、あかりも、

「私も旦那(だんな)さんに見てほしいわ」

「昔の彼氏だな」

と続けて美紀恵。

里紗は、まず夫が頭に浮かんだが、それ以上に見てほしい人がいた。高野さんだ。でも、高野さんは、もう里紗のそばにはいない。とてもその場で、昔の彼氏でもない、かつての片思いの恋の相手だとは言えなかった。
 

次回更新は2月3日(火)、21時の予定です。

 

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