里紗が、はじめてヨガと出会ったのは、大阪から上京した二〇一三年の秋のことだった。何か新しいことを始めたくて探していたところに、ホットヨガスタジオの広告が目についた。
当時は、あのファストフード店の高野さんに恋をしていた頃で、〝自分を磨(みが)いて好きな人と結ばれたい〟と思い、そのホットヨガスタジオで汗を流し始めたというのが、そもそものきっかけだった。
そうして通い始めて、里紗にとってヨガは、心と体を心地よく休める時間となった。そしてまた、ヨガは、サンスクリット語で「繋(つな)ぐ」という意味であることも知った。
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伊豆高原駅の構内は、サークルの集団や家族連れなどの観光客で賑にぎわっていた。そんな光景に目をやりながら待っていると、やがて宿泊施設からの送迎車が到着したので乗り込んだ。
ほかの参加者たちも集まってきて、一緒に乗り込んだが、皆、車内では押し黙っていた。そうして五分くらいもすると、施設に着いた。
係員からバインダーを渡され、氏名などを記入する。里紗は少し緊張していた。その後、階段を上がったところにある部屋に案内され、しばらくひとりでいると、同室になる人たちが来た。
「櫻井美羽(みはね)です」
「田村美紀恵です」
一緒に入ってきたところを見ると、どうやら、ふたりは友達同士で申し込んだらしい。