第1章 「発達」と「障害」

社会制度枠組

このように国際的には、障害の考え方について前進的な概念が提示されています。わが国も、障害者総合支援法(平成24年)など大きく変貌してきたところですが、これまでの経緯も含め見てみましょう。

まず、障害について基本的な考え方として、先天性障害と後天性障害があります。先天性障害は生まれ持った障害のことであり後天性障害とは生まれてから得た障害のことです。

現在法制度的には、障害は身体障害、知的障害、精神障害の三つで考えられていますが、精神障害は平成5年の障害者基本法ではじめて障害として含まれ、現在の三障害になりました。障害の認識、枠組みは戦後変化し続けてきました。

三障害の中で最も古い法律は、身体障害者福祉法(昭和24年)です。戦後多くの傷痍軍人がおり対応が急務であったことが伺えます。障害は視覚障害、聴覚障害、肢体障害などに分かれていますが、切断など目に見えてわかるものと視覚検査や聴覚検査のように検査でわかるもので、医学的に判定し、身体障害者手帳を発行することによって障害者と認定します。

現在、手帳の障害等級は7級までありますが単独手帳を発行するのは6級までで、1級が最重度です。障害者手帳が交付されると、社会福祉の対象として公的な助成やサービスを利用することができます。社会保障として重要なことであり、該当になるかどうかで個人の福祉的利益も左右されます。

知的障害の法律ははじめ精神薄弱者福祉法(昭和35年)として登場しました。その後知的障害者福祉法(平成10年)に名称変更となりますが、対象はほぼ先天性障害で児童相談所等の判定により障害が認定され手帳が発行されます。

療育手帳という名称が多いですが、自治体によっては愛の手帳という所もあります。等級はA判定、B判定のふたつで表記する所が多いですが、東京都は1〜4度で、A判定、1度のほうが重度です。判定は知能検査等の検査と総合的判断によります。

本書で関係のある精神障害については紆余曲折があります。戦前も精神病院法(大正8年)など精神障害に関する法律はありましたが、戦後社会制度の枠組みとして登場したのは精神衛生法(昭和25年)です。福祉法ではありません。