【前回の記事を読む】「女子高生が麻雀に青春を捧げるのは変かな?」彼女の言動には建前や嫌味はなく、今まで出会ってきた人達とは何かが違った
一本場 風変りな麻雀部
「ねぇ、知ってる? この学校、麻雀部があるって」
「見た見た! 部活勧誘期間中ずっと朝と放課後にビラ配ってたよね」
「そうそう、しかもめちゃくちゃ可愛い女子の先輩が、たった一人で」
「男子達が群がってたけど……わたし達にはちょっと難しいよね」
「確かにね、どうせやるならもっとメジャーな部活のほうがいいかな」
「だよねー。JKが青春に麻雀って……なんていうか、凄いなぁ、よくやるなぁみたいな?」
「何それー?」
クスクスとクラスメートの女子達が雑談を弾ませながら教室を出ていく。
侮蔑も悪意もない、たまたま話題に上がっただけの雑談の一つ。
それでも、トラウマというほどでもないが、小学生時代の思い出がふと甦り身体がわずかに強張(こわば)ってしまったのは、類似する点がいくつかあったからだろう。
「麻雀部か……」
月峰高校の入学式を経て、最初の金曜日。その放課後。
夜深は未だ入部する部活を決められないでいた。
それどころか部活見学にすらロクに行っていない。
何かしらのスポーツに挑戦してみたいとは思っているのだが。
「暗そうにしてんなよ!」
「いたっ! ……ああ、なんだ笹野(ささの)か」
死角から軽く背中を叩いてきたのは、誰にでも気さくでムードメーカーとしてすでにクラス内で定評のある男子生徒――笹野涼(りょう)だった。何度か話しかけられているうちに月峰の生徒の中では夜深が現時点で一番仲良くなった友人でもある。