【前回の記事を読む】職場で彼とまさかの再会。だが私の気持ちは既に――その夜、私は離婚届を封筒に入れた

不可解な恋 ~彼氏がお見合いをしました~

離婚届を俊雄さん宛に投函した翌朝、目覚めが良く、それもスッキリとした気分だった。

関係を清算した事で、吹っ切れて良かったのかな。

キッチンへ向かい、朝ご飯の準備に取り掛かる。十分くらいしたら南君も起きてきた。

「おはよ、亜紀ちゃん。う~ん、良い匂い。手料理期待してるね!」

「ふふ、そんなに期待される物はできないけど、冷蔵庫の食材が豊富だったから、ちょっと頑張っちゃったかな」

数分後には、調理が済み、テーブルに料理を並べていく。

「お、ホットサンドに、ローストビーフのサラダかぁ。一見簡単そうに見えて、手間を掛けると、別格に旨くなるんだよね~」

「どうぞ、召し上がれ」

「いただきます。……んん! この味は、隠し味が使われているね!」

「うん。ひと手間掛けたよ」

「流石亜紀ちゃん! これはマジでイケる!」

「良かった」

作った物を喜んでくれるのは、嬉しい事だ。

食事をしながら色んな話題に花が咲き、私と南君は料理について持論を持ち出したりして笑い合った。こんなに笑ったのは、どれだけぶりだろう。

真由や俊雄さんの件で、すっかりメンタルをやられていたけど、南君には救われてばかりだ。

私は恋愛と言うか結婚に失敗をしたけど、案外それで正解だったのかもしれない。俊雄さんの優しさで、私は辛い思いをした。優し過ぎるのは、時に人を傷付けるという事を、俊雄さんは理解しているのか……今となってはどうでもいい事だ。

「南君、私、今日、家に戻って荷物を整理してくるね。服とか最小限必要な物だけ持ち出そうと思ってる」

「一人で大丈夫?」

「うん。俊雄さんは仕事だと思うから、居ない間にやっちゃう」

そうして、南君を送り出すと、結婚して住む事になったマンションへ出向いた。

鍵を開けようとすると、おかしな事に鍵が開いていた。俊雄さんは仕事だから、いるとしたら……悠希さんだろうか。